アイツの溺愛には敵わない
そんなに笑うほど変な顔だった?
颯己の笑いのツボはイマイチ分からない。
疑問に思いながら、買い物袋に入っていた食材を手早く冷蔵庫に移した。
「それで、何作るの?」
「鮭のホイル焼き、筑前煮、だし巻き卵、あと味噌汁。久々に和食を作りたい気分だったから」
私よりも、ちゃんと献立を考えてる…。
お母さんもお父さんも和食が大好きだから、すごく喜びそう。
そして、颯己が作ったって聞いたら驚くだろうな。
料理が得意なこと、お母さんたちは知らないから。
私が知ったのも、ほんの数ヶ月前だけど。
あれは、お母さんの手作りチーズケーキを颯己の家に持って行った時。
キッチンで手際よく料理をしている姿を目撃した私は、チーズケーキが乗った皿を危うく落としそうになったぐらい驚いた。
確か、パスタにかけるミートソースまで手作りしてたんだっけ。
味見するように頼まれて、スプーンで一口食べてみたら、レトルトよりも美味しくて衝撃受けたんだよね。