アイツの溺愛には敵わない

｢はーちゃん、黙りこんでるけど何か嫌なメニューがあった？｣


｢ううん、ない。颯己の料理現場を目撃した時のことを思い出してただけ｣


｢あの時のはーちゃんのリアクション凄かったよね。鳩が豆鉄砲を食ったような顔してさ｣


こんな顔だったよねと再現してみせる颯己に口を尖らせた。


｢だって、それまで自炊してる気配が無かったじゃん｣


｢気が向いた時しか料理やらないからね～。コンビニやスーパーのお惣菜とか弁当にお世話になることの方が多いし｣


毎日自炊した方がいいのにとは思うけど、私もそんなに料理をするわけじゃないからな。


偉そうに言える立場じゃない。


まあ、同居してる間はコンビニとかの食品に頼る機会は少ないだろうから、栄養バランスが大きく偏ることはないはず。


あ……。


またしても、颯己の心配してるじゃん。


付き合いが長いから、心配したり気に掛けたりすることが癖みたいになってるのかな…。


いかん、いかん。


首を左右に振った。