アイツの溺愛には敵わない

「えっと、私は何すればいいの?」


「アルミホイルの上に鮭と具材をのせて欲しいのと、だし巻き卵に添える大根おろしをお願いしていい?」


「分かった」


「鮭と具材はそこのトレイにのってるから、はーちゃんの好きなように盛りつけて?」


「うん」


早速、アルミホイルを広げて鮭の上に野菜やキノコなどの具材をのせていく。


「このモミジの形をしている人参、颯己が切ったの?」


「季節感があっていいかなと思って、スマホで飾り切りのやり方を検索して作ってみた」


初めてのわりにはクオリティ高い…。


器用だよなぁ、颯己。


「切り方教えよっか?」


「別にいい」


不器用な私がレクチャーを受けても、歪なモミジが出来上がるだけだ。


これ何?とか颯己に鼻で笑われそう。


やらない方が身のためだ。


心の中で頷きながら、黙々と盛りつけ作業を進めていく。


4人分を作り終えて大根おろしに取りかかろうとしていると、颯己からフッと笑い声が聞こえてきた。


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