アイツの溺愛には敵わない

「スキンシップを禁止にするなら、明日から学校で話しかけようかな、はーちゃんに」


「えっ!?」


「学校に行ったら他人のフリなんて、俺は未だに納得いってないから」


そうきたか…。


でも“対抗措置をとるなんてズルい”とか言える立場じゃないからな…。


既に、私の一方的なお願いを聞き入れてもらってる状態なわけだし。


「……分かったわよ。家では…その……触れてもいいから、学校では引き続き話し掛けないでよね!」


仕方ないから、スキンシップ禁止は諦めよう。


これからは触れられそうになったら、ガードすればいいもんね。


「ん、了解」


満足げな表情で頷いた颯己は、味噌汁作りを再開した。


また鼻歌うたってる。


何がそんなに嬉しいんだか。


颯己の横顔に冷ややかな視線を送りながら、自分のおでこに手をあてた。


おかしいな…。


もう触れられていないのに…


おでこが熱い。


あんなことされたの初めてで結構ビックリしたから、まだ熱が残ってるように感じてるだけかな…。


うん。


きっとそうだよね。


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