アイツの溺愛には敵わない
私はフローリングの水拭きをメインに、颯己は水回りや窓拭きを担当。
掃除中は、お互い殆ど会話を交わさずに集中して取り組んだこともあって、13時頃には概ね終わらせることが出来た。
「はーちゃん、ありがとう。そろそろ昼食にしよっか」
「そうだね」
お昼ご飯どうしよう。
これから家に戻って何か料理を作るのは少し面倒だし、レトルトに頼ろうかな。
「俺、コンビニで買ってくるよ。はーちゃんの分も奢らせて?」
「えっ、いいよ。自分の分は自分で払うから」
「今日手伝ってもらってるお礼」
そんなの別にいらないのに。
律儀だよなぁ、全く。
「それじゃあ、遠慮なく奢ってもらおうかな」
「何食べたい?」
「私は何でもいいよ」
“これが食べたい”っていうものも特に浮かばないからお任せしよう。
「了解。じゃあ適当に見繕って買ってくるね。いっそのこと、はーちゃんも一緒にコンビニに行かない?」
「いい。ここで待ってるから」
「残念。じゃあ、直ぐに戻るから留守番よろしくね」
私の頭をポンポンと撫でてから、颯己は足早に出掛けて行った。