アイツの溺愛には敵わない
どう考えても私のせいじゃないでしょ。
不満な気持ちを込めて睨みつけてみたけれど、効果なし。
むしろ、なんだか楽しそうだ。
「リビングの窓際の方が日当たりが良くて明るいから、あっちで食べよ?」
颯己は声を弾ませると、先にリビングに行ってしまった。
はぁ、ビックリした…。
気配なさすぎじゃない?
いつの間に帰って来たんだろう…と思いながら胸元に手をあてた。
「………」
まだ心臓がドキドキしてる。
だって、後ろからいきなり抱きつかれたのなんて初めてだもん。
きっと驚きを引き摺ってるんだ。
こういう心臓に悪いことは二度としないでもらいたいよ…。
心の中で文句を言いながら部屋を出た私はリビングへ。
颯己は掃き出し窓の近くに座って、コンビニの袋から買ってきたものを取り出していた。
「へー、たくさん買ってきたんだね」
おにぎり、パン、飲み物がそれぞれ数種類ずつ。
私が選択できるように色々と購入してきたんだろう。