アイツの溺愛には敵わない

「俺、嫌いな食べ物は特に無いよ」


「そうだったんだ。初めて知った」


「好きな食べ物は、今食べてる焼きそばパンとパスタ料理全般、あとはクッキーかな」


「ふーん」


焼きそばパンが好きなんだ。


初めて料理してるのを目撃した時に作ってたのもミートソースパスタだったな。


お菓子で好きなものはクッキーか…。


「そう言えば颯己の家に遊びに行った時、おやつにクッキーが出てくる確率が高かったもんね…。遠足や修学旅行で持って来てたお菓子も毎回クッキーだったし…」


当時は好きな食べ物に興味なかったから特に気に留めてなかったけど…


今考えてみると、昔からかなりのクッキー好きだったんだな。


「……なんだ、そっか」


颯己はポツリと呟いたかと思うと、クスクスと笑い出した。


「何がおかしいのよ」


「はーちゃん、俺のこと…見てないようで見てくれてたんだね」


弾んでる声。


今にも鼻歌を歌いはじめそうなぐらいに綻んでいる顔。


昔のエピソードを話しただけなのに。


そんなに嬉しいことだったのかな…。


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