アイツの溺愛には敵わない

昼食を済ませた後、気になっていた部分だけ改めて掃除をしなおして作業は終了。


ようやく家に戻れる。


掃除用具を持ってリビングを出ようとしていると、窓際のところで座っていた颯己がいきなりゴロンと寝転がった。


「ちょっと、何してんの?」


「眠くなってきたから、昼寝しようかな~と思って。ここ日当たりがいいし、開いてる窓から入ってくる風が心地いいから」


確かに昼下がりは眠くなるけども。


「何もここで寝なくても、家に戻ってから部屋でお昼寝する方がいいんじゃない?」


「………」


無視ですか。


イライラしながらリビングのドアの前に掃除用具を置く。


颯己のそばに行くと、小さな寝息が聞こえてきた。


寝起きは悪いくせに、寝付きはこんなに良いのか…。


しゃがんだ私は颯己の寝顔を覗き込んだ。


艶のあるサラサラな黒髪が、外から入ってくる風で小さく揺れる。


長い睫毛。


スッと通った鼻。


形のいい唇。


本当、綺麗な顔してるよなぁ…。


< 54 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop