アイツの溺愛には敵わない
昼食を済ませた後、気になっていた部分だけ改めて掃除をしなおして作業は終了。
ようやく家に戻れる。
掃除用具を持ってリビングを出ようとしていると、窓際のところで座っていた颯己がいきなりゴロンと寝転がった。
「ちょっと、何してんの?」
「眠くなってきたから、昼寝しようかな~と思って。ここ日当たりがいいし、開いてる窓から入ってくる風が心地いいから」
確かに昼下がりは眠くなるけども。
「何もここで寝なくても、家に戻ってから部屋でお昼寝する方がいいんじゃない?」
「………」
無視ですか。
イライラしながらリビングのドアの前に掃除用具を置く。
颯己のそばに行くと、小さな寝息が聞こえてきた。
寝起きは悪いくせに、寝付きはこんなに良いのか…。
しゃがんだ私は颯己の寝顔を覗き込んだ。
艶のあるサラサラな黒髪が、外から入ってくる風で小さく揺れる。
長い睫毛。
スッと通った鼻。
形のいい唇。
本当、綺麗な顔してるよなぁ…。