アイツの溺愛には敵わない
俳優やモデルになれそう。
中学の頃、男友達と街中を歩いていたらスカウトされたことあるって言ってたし。
もしも私たちが幼なじみじゃなかったら、関わりあうことはなかっただろうな。
別世界の人って感じで近付くことすら出来なかったと思う。
きっと…
こんな風に二人きりになることなんて絶対に…
「………」
颯己の寝顔に伸ばそうとした手を慌てて引っ込めた。
ちょっと待って。
今、颯己に触れようとした!?
どうして、そんなこと……
自分でもよく分からない無意識の行動に戸惑いながら、颯己と距離をとる。
暫く固まっていると、少し涼しい風が窓から入ってきた。
秋を感じる爽やかな風。
太陽の光で温かくなったフローリング。
この場所、すごく心地いいな…。
お昼寝したくなるのも分かる気がする。
何となく寝そべってみた私。
空に浮かぶ白い雲をボンヤリと眺めているうちに、次第に瞼が重くなってきた。