アイツの溺愛には敵わない
…………ピッ、ピピッ、ピピッ…
アラームが鳴ってる。
うっすらと目を開けてスマホを手に取った私は、アラームを止めた。
何だか、ぐっすり眠れたな…。
欠伸をしながら体を起こすと、オレンジ色の空が目に映った。
えっ、夕方…!?
すぐにスマホのアラーム画面を開く。
20分後にセットしたはずが、3時間後の時間設定になっていた。
うつらうつらしながら操作してたから、きっと間違えたんだ。
まさか、こんな時間までお昼寝することになるなんて。
ため息をこぼしながらスマホをジーンズのポケットにしまおうとした時。
「あれ?」
私の体に掛けられたカーキ色の服の存在に気付いた。
これ、今日…颯己が着ていたパーカー。
もしかして、私が寝ていたから掛けてくれたんだろうか…。
パーカーを返そうと隣に視線を向けたけれど颯己の姿はない。
どこに居るんだろう。
家の中を見て回ったものの、姿は見当たらない。
ベランダかも…と思って出てみたけれど、誰もいなかった。