アイツの溺愛には敵わない
「ということは、少しずつはーちゃんの心に入り込めてるってことなのかな…」
「は…?」
「俺、遠慮なく攻め続けるから。場合によっては強引な手段に出るかもしれないから、よろしくね」
何か思惑がありそうな不敵な笑みを浮かべる颯己。
頬に触れられていた手が離れると同時に、私は逃げるように自分の部屋に戻った。
なんなの、アイツ。
最後の言葉、不穏すぎるでしょ…。
閉めたドアに凭れるようにしてズルズルと床に座り込んだ私。
そっと片頬に触れた。
熱い…。
さっきは自覚なかったのに、今は自分でも分かるぐらいに熱を帯びている。
鼓動もやけにうるさくて、少し胸が苦しい。
だけど、悪寒はないし体調は至って普通。
だったら、この症状は何?
どうしたら治まるの…?
分からないよ…。
三角座りをした私は、膝に顔をギュッと押し付けた。