アイツの溺愛には敵わない
4*アイツの恋愛事情
引っ越しのお手伝いをした先週の日曜日。
あれから、なんだか調子が変だ。
颯己の顔を見ると、心がムズムズして顔が熱くなる症状が頻発。
だから、まともに目を合わせて会話することが出来なくなってしまった。
体は元気そのものなのに…。
謎すぎる。
「映結ちゃん?」
その声にハッと我に返る。
隣には不思議そうな顔で私を見ている綾芽ちゃんがいた。
そうだ。
昼食の後、借りた本を返却するために二人で図書館に来ていたんだっけ。
何か面白そうな本がないか探しているうちに、頭の中に颯己の顔が浮かんできて…
最近のアイツに対する異常反応について考え込んでたんだ。
「本棚とにらめっこしてたけど、何を借りるか悩み中?」
「ううん、ちょっと考え事してただけ。綾芽ちゃんは新しく何か借りる?」
「うん。気になってたエッセイ本を借りようかなって。映結ちゃんは?」
「私、今回はやめておこうかな」
「じゃあ、これ借りてくるね」
カウンターへと向かう綾芽ちゃん。
手続きが終わると、一緒に図書館を出た。