アイツの溺愛には敵わない
私、お昼休みからずっとモヤモヤしてる。
まるで、心の中に濃い霧がたちこめているみたい。
最寄り駅まで帰って来た私は、家に向かってゆっくりと歩き始めた。
女子生徒に冷たい颯己が、霧島先輩と二人きりでお喋りしてることにはビックリしたけれど…
衝撃を受けるほど驚いたかと言えば、そこまでじゃない気がする。
それなのに、気持ちがスッキリしないのはどうしてだろう…。
颯己が霧島先輩と会話したって、私には何のデメリットも無いのに。
そうだよ。
むしろ仲良くなってくれれば、私にちょっかいを出すこともなくなるだろうし、スキンシップだってやめるんじゃない?
そうすれば、顔が赤くなることも心のムズムズも治まるはず。
うん、それが最善の結末だ。
私のそばに居ても、またアイツに嫌な思いさせてしまうかもしれない。
だったら、素敵な女の子と出会って幸せな毎日を過ごして欲しいんだ。