アイツの溺愛には敵わない
あれ?
今、ホッとした……?
霧島先輩との会話の内容が気になってモヤモヤしてはいたけど…
心配したり不安を抱いていたわけじゃない。
それなのに、この安堵感。
よく分からない。
「話は殆ど聞き流してたから、あまり覚えてない。会話の最後に今日の放課後の都合を聞かれたことぐらいしか印象に残ってない」
「えっ、放課後?」
「“大事な話がある”って。学校だと人目があるから場所を変えて話したいとか言われた」
それって、もしかして……
頭の中に“告白”の二文字が過った。
「用事があるから断ったのに“それなら明日の放課後、お願いします”とか言って、俺が拒否する前に立ち去ったんだよね。言い逃げするなんて迷惑でしかないんだけど」
言葉の端々に苛立ちを纏ってる…。
相当、ご立腹って感じ。
でも今の颯己の言葉から察するに、故意の言い逃げじゃないと思う。
前に綾芽ちゃんが言ってたんだよね。
“好きな人に告白した時、その空間から逃げたくなるぐらい、めちゃくちゃ緊張した”って。
もしかしたら、霧島先輩も同じような状況だったのかもしれない。