アイツの溺愛には敵わない
「今後のはーちゃんの言動次第では、ストッパーが突然外れる日が来るかもしれないから気をつけてね」
「す、ストッパー?」
「俺、忍耐強い方だとは思ってるけど限界はあるから」
「それって、何の話?」
「俺の感情や理性について…かな」
ダメだ。
質問したのに疑問が解決されるどころか、更に分からなくなった。
「眉間にシワ寄ってる。難しい顔してるはーちゃんも可愛いね」
「からかわないで」
「俺は事実を言っただけ」
微笑んだ颯己は私の頭をフワフワと撫でる。
「どんな表情のはーちゃんも愛おしいよ」
至近距離で見つめるのに加えて、スキンシップまでするのは止めて欲しい。
そんなことされると、また謎の症状が…。
瞬く間に顔が熱を帯びる。
私は近くにあった小さなクッションを慌てて手に取ると、顔を隠した。
この火照った感じの熱さだと、間違いなく赤く染まってる。
ほんの数秒とは言え、颯己に見られたのは猛烈に恥ずかしい。
からかわれるか、笑われるか。
覚悟して身構えていたけれど、何も言葉は飛んでこない。