アイツの溺愛には敵わない
翌日。
授業を終えて家に帰って来た私は、部屋着に着替えてベッドに寝転んだ。
図書館で綾芽ちゃんと一緒に課題の一部をやってから学校を出たから、もしかしたら帰宅してるかもと思ったけど…
まだ帰って来てないな、颯己。
昨日“行きたくない”って言った後、結局“行く”とは明言していなかったけど、この感じだと話を聞きに行ったっぽいな。
……これで良かった?
いやいや、なんで疑問文になってるのよ。
促したのは私自身じゃん。
それなのに、心の中は煙が充満しているみたいにモヤモヤしている。
本当、どうかしてる…。
体を起こした私は、頬を両手で挟むとパンッと叩いた。
颯己のこと考えるのは止めよう。
ホットココアでも飲もうかな。
部屋を出た私はキッチンへ。
温かいココアを作り終えると、リビングのソファに腰かけた。
「うん、美味しい」
普段よく飲むのは紅茶やほうじ茶だけど、心を落ち着けたい時やリラックスしたい時は、やっぱりココアに限る…。
漂ってくる甘い香りを吸い込んだ。