アイツの溺愛には敵わない
どうして不満げなのよ。
「なんか文句ある?別に一人でやらなきゃいけないっていう課題じゃないんですけど」
「オトモダチと勉強やるぐらいなら俺と一緒にやって欲しいな」
「私と違って抜群に成績いいんだから、一人で難なく出来るでしょ」
「そういう意味じゃないけどね」
「は?」
他にどんな解釈が…?
考えても分からなくて眉を寄せる。
そんな私を見て苦笑いした後、颯己はマグカップに手を添えて、そのまま自分の口に運んだ。
「ちょ、ちょっと!何やってんの!?」
「飲まないと冷めちゃうから」
「だったら、自分で作って飲みなさいよ」
「ん、甘くて美味しい。これから頭使うから糖分補給ってことで」
人の話、聞いてる?
私の鋭い視線を気にすることなく、颯己は立ち上がってリビングの出入口へと歩いていく。
そう言えば……
霧島先輩には会って来たんだろうか。
颯己からの思わぬ言動が続いたせいで、聞きそびれてしまった……。