アイツの溺愛には敵わない
その後、授業が淡々と進んでいき、最後のロングホームルーム。
正方形の箱を持ったクラス委員が教壇にあがった。
「事前に予告していたとおり、今日は席替えをします」
途端に歓声が上がる。
入学当初から一度も席が変わっていないということもあって、夏休み明けから席替え希望の声が多くなっていたのだ。
今の席、窓側から2列目の一番後ろだから、わりと気に入ってたんだけどな。
名残惜しさを感じながらクジを引く。
黒板に書かれた席の番号と引いた紙に書かれた番号を照らし合わせた。
新しい席は廊下側から2列目の後ろから2番目。
まずまずな席かな…。
あとは、今までみたいに颯己と席が離れていることを祈るばかり。
全員がクジを引き終わって移動し始める。
視点が変わると雰囲気も違うから違和感あるな…。
しばらくは、席を間違えないように気を付けないと。
気を抜くと前の席に座っちゃいそうだし。