アイツの溺愛には敵わない
返事、断ったの?
それとも、とりあえず友達からってことでOKしたの?
雰囲気的には前者な気がするけど、そう見せかけて実は後者っていう可能性もある。
告白されたことで、相手に対する印象や意識が変わったかもしれないし。
頭の中で予想を繰り広げていると、颯己からフッと笑い声が漏れた。
「告白はキッパリと断ったから安心して?」
「な、何それ。私は心配なんてしてないんだけど」
「そのわりには、ついさっきまで顔が強張ってたけどね」
「えっ……」
「今は、はーちゃんが嬉しそうで何より」
口角を上げて満足そうに笑った颯己は、リビングを出て行ってしまった。
嬉しそう…?
私が……?
そんな感覚ないんだけど…。
頬や額に触れながら首を傾げた。
でも……
“断った”っていう話を聞いた瞬間に、ぶら下がってた鉛の塊が消えて心が軽くなった。
不快な症状がなくなったから、無意識のうちに表情が和らいでいたのかな?
それが、颯己の目には嬉しそうな表情として映ったのかもしれない。