MATSUのごくありふれた平凡な日々
2.
*
「こんにちは、松さん」
きたっ。
松は、きっとにらみ上げる。
「名字で呼んでください」
「えーと、轟さん?」
松のネックストラップに下がっている名札を見ながら言う。
「はい、なんでしょうか」
「これ、よろしく」
クリアーファイルが渡される。
いつも通り、領収書が雑多に入っている状態だ。
口元がひきつる。