MATSUのごくありふれた平凡な日々
松はぐうの音も出なかった。
確かにその通りだ。
自分の会社の立場に立って、会計士の指摘は聞きながらも、社員がやりやすい方法を見出すべきだ。
松はくちびるを引き結んで黙り込み、皿を凝視する。
「あんたたち、寄ってたかって、いたいけな女子社員を吊るすんじゃないわよ。
それを言うのは松の上司にでしょ」
ため息混じりなフォローに重苦しい空気が若干緩んだ。
「確かに。
松さん、すいません」
暁が明らかに外面用の、にこやかな声で謝った。