MATSUのごくありふれた平凡な日々

「よく、迷わなかったね」
「地図を読める男なんです」

キリっとして見せるが、なんだか間抜けだ。

王子様みたいな顔をしているのに。

ガブリエルは両手に沢山のビニール袋を縁側に置くと、真っ赤な手をニギニギした。

「はい、お疲れ」

松はグラスを渡すと、ビニール袋から缶ビールを取り出し、注いでやる。

ガブリエルはそれを一気に空けた。

「うん、うまい!」
「なんでおまえが一番に飲んでるんだよ」

暁は苦笑しながら、ビールをコップに注いでは瑠衣たちに送る。

そしてちゃんとガブリエルのコップにも、もう一度注いでやった。

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