MATSUのごくありふれた平凡な日々

戸惑っていると、男性の影が動いて、美紀越しに男性と目が合った。

うわー、出た。

男性が暁なことに、松は引き気味になった。

その暁の瞳に、なんだか妖しげな光が帯びる。

薄く笑った感じがして、暁が長い指を美紀の後頭部に回し、顔を傾けて近づけた。

松は固まった。

目を見開いて、息を詰める。

暁は少し顔を離すと、瞼を上げて、松と目を合わせた。

口元が微かに笑って、ちろりとくちびるをなめる。

< 62 / 107 >

この作品をシェア

pagetop