MATSUのごくありふれた平凡な日々
まっすぐで、ぶれなくて、いつだって凛としている。
自分とはえらい違いだ。
憧れでありながら、自分の不甲斐なさを突き詰けられるようで、いつも打ちのめされる。
美紀が秘書室のデスクに着くのを見てから、松も自分の部署に戻るため階段をぽとぽとと降りながら、ふと思った。
経理部にいる自分が気が付かなかったのに、どうして秘書課の美紀が気が付いたんだろう。
足を留めて振り返り、階段を見上げる。
しばし迷ったが、松は振り切るように頭を振って、そのまま階段を降り続けた。