でも、さわりたかったよ
先輩が帰って来て3日が経った。


どうやら先輩は、私以外の人がいると姿を消すようだ。

いつも私の部屋にいるので、家の中にしかいないものかと思ったら、一人で下校中にすっと隣に現れたりする。

気づいたことがもう一つ、先輩は何も言葉を発しない。
ただ見つめて来たり、微笑むだけ。

どうして返事をしてくれないの?と尋ねても、困ったように笑うだけだから、私は仕方なくとりとめのないことを話し続けた。



「そんなシャイな人じゃなかったのにね」

私は座椅子に背中を預けて、先輩の肩にもたれかかる。

「だってさ、シャイだったらあんな人目に付く場所で、告白したりしないじゃん」


くすくすと笑って目を閉じる。


先輩の左手に自分の右手を重ねて、先輩の細くて長い人指し指に親指を這わすと、先輩は手のひらを上に返して私の手を包み込んでくれた。


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