でも、さわりたかったよ
少しだけ時間を置いてまた靴箱へと進むと、ちょうど先輩が駐輪場から靴箱に向かっている姿が見えた。
私は少し早足に、それもなるべく自然に、同じタイミングで靴箱に着くよう進んだ。
その瞬間、先輩が顔を上げて、音が鳴るみたいに先輩と目が合った。
先輩の視界に私がいる。
息が詰まるみたいに苦しくなって思わず足が止まる。
先輩はまっすぐこっちを見つめたままこっちに歩いてくる。
「あのさ」
目の前で立ち止まると、私を見下ろして照れたように頬を掻き、下唇を噛むようにして微笑んだ。
「お前のこと好きだから……付き合ってほしいんだけど」