でも、さわりたかったよ


制服のスカートを腰のところで1つ、2つと内側に折り込む。


ローファーを履いてつま先をトンと鳴らし、玄関のドアを開ける。


いつもよりドアが軽すぎて勢いがつき、その後の段差でよろけた。



新しい朝が来た、希望の朝だ。



ラジオ体操の歌が大音量で脳内に流れた。いや、多少声に出ていたかもしれない。




「真帆、おはよう」


「あっくん!」


振り返ると、向かいの一軒家に住んでいるあっくんが、自転車の鍵をがちゃがちゃとしながら左手を上げた。



「やだ、あっちゃんでしょ?」




自転車を押したあっくんが体をくねらせて私の肩を小突く。


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