でも、さわりたかったよ
高校まで続く一本道の下り坂をスーパーのところで曲がる。
線路沿いを歩いていくと、A駅から制服の集団が波のように現れる。
みんな同じ方向に向かって肩を寄せ合い、ところどころでわっと笑い声が沸きあがったり、端であくびをしていたり、彼らはそれぞれの朝を持っている。
みんな、もう、忘れているのだろうか。
私の朝はみんなとは逆方向を向いていた。
改札を抜け、制服のかたまりがいなくなった電車に吸い込まれていくと、少し隙間の空いたサラリーマンの隙間をかいくぐって空いたスペースの壁にもたれた。