でも、さわりたかったよ
真帆の真実
名前を呼ぶ声がして目をこすり、一度目は気のせいだと思って再び枕に顔をうずめた。

けれどやっぱり声がする。

のそのそと起き上がり、部屋の窓を開けて下を覗きこんだ。

昨夜の雨で濡れた窓のサッシが、指に嫌な感じを覚えさせる。



「あ、起きた?」



制服姿のあっくんが、女の子みたいに両手を口元に添えて笑っていた。


なに?と怪訝そうに髪を掻くと、いや学校!と指をまっすぐ指してきた。



ベッドに目をやると先輩はいなかった。

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