でも、さわりたかったよ
「俺さ、1年の時も7組でさ。靴箱ここじゃん?2年なった時も1組で、げって思ったんだよ。また靴箱奥じゃん、って」
ふわふわの髪をぐしゃぐしゃと落ち着きなく崩しながら、先輩はやけに早口になる。
「……でもぶっちゃけ、お前も1組だったから、ラッキーって思った」
大胆なことを言われ、彼女は耳まで真っ赤に染まった。
そしてぐっと唾を飲みこむみたいにして、八重歯を見せて笑う。
「あたしも、ラッキーって思った」
「なんで?」
先輩が期待するように身を乗り出す。
彼女は胸の前で両手を振り、弁明するように先輩の靴を指差した。
「その白のエアフォース好きだったから」
「なんだ、靴かよ」
二人が顔を見合わせて笑うのを、私はただ見ていた。