でも、さわりたかったよ
「あっちゃんの髪ってふわふわしてるね」
昼休憩の階段で、お弁当を箸でつつきながら彼女はそう言った。
「俺、天パなの。黒髪で天パだから重くて。夏とか地獄なんだよ」
「へえ、じゃあ髪染めたら?あっちゃん、色が白いから似合うよ、絶対」
先輩はきょとんとした後、まんざらでもなさそうに自分の前髪をつまんで見ていた。
彼女が先輩が手に持っていた売店の焼きそばパンにかぶりつき、おいしい!と声を上げると、先輩が急に食うなよ、と肩を揺らして笑った。
私はただ見ていた。