でも、さわりたかったよ


C駅の前のコンビニで、彼女は肉まんを一つ買った。

ベンチでスマホを触りながら待っている先輩の隣に、彼女が跳ねるように腰かける。

「半分こしよう」

彼女は袋から肉まんを取り出して、器用に半分に割いた。

彼女は、はいっと先輩の顔の前に突き出し、先輩は少し迷った後受け取った。



「冬って感じだね」

半分になった肉まんを頬張りながら彼女は白い息を吐く。

先輩は二人の間に無造作に置かれたビニール袋の中をまさぐって、からしを取り出して自分のそれに塗っていた。



私はただ、見ていた。ずっと。

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