でも、さわりたかったよ

~1年前~

なんで俺らの靴箱だけ一番奥なんだよ、と1年7組のクラスメイト達は口々に言っていた。
もちろん私もそのうちの一人だった。夏休み前までは。



期末テストの成績が悪いと夏期補習があるのだと担任が話すのを、自分には無関係だとぼんやりしながら頬杖をついていた。

ブレザーの袖にイヤホンを通して、こっそり音楽を聴きながら、クラスのみんなが騒いだり手を叩いたりしている風景の一部に溶け込んでいた。


校則って不平等だよな、と思う。

きらきらしたクラスの目立つ女子たちは、やれカバンにキーホルダー付けるのは禁止だとか、カーディガンの裾を出すなとか、担任も細かく注意するし、みんな舌打ちしてその場では直しても、次の日にはまた同じ格好して登校する。

そうやって同じことを季節が変わっても繰り返す。

< 5 / 78 >

この作品をシェア

pagetop