でも、さわりたかったよ
渡り切ったところで足がもつれ、ザッと派手に倒れこんだ。
肩で息をしながらゆっくりと振り返る。
横断歩道は赤になり、何台もの車が音を立てて目の前を横切っていった。
横断歩道の向こう側に、先輩の姿は無かった。
息が上がったまま両手で後ろ頭を抱え込み、アスファルトに頭をつける。
すりむいて膝に血がうかび、傷の周辺に砂が散っていた。
痛い。
痛いけれど、私は、生きないと。
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