でも、さわりたかったよ

かくいう私はというと、授業が終わるたびにトイレに連れ立ったり学校帰りにマックに行ったりする友達もいないし。

たまにあっくんが席に寄って来てイヤホンの片耳を奪われるくらいのものだから、担任も私のスカートが膝上だってことにまるで気づかない。

教壇に立って教室を見回していても結局目立つグループしか見てないのだ。

先生、なんなら私、校則禁止のストラップ半年くらいカバンにつけてるよ。





担任から一人ひとり名前を呼ばれ、テストの答案用紙が返却されていく。

来た、このイントロ最高なんだよな、スーパーカーの、Lucky。

口角をきゅっと上げて宙を仰ぐと、みんなが振り返って、担任がこっちを手招きする。

タ、カ、キ。


お得意の読唇術で、名前を呼ばれたことを理解した私は、イヤホンを袖にひょこっとおさめて立ち上がった。

「高木、はい」

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