でも、さわりたかったよ
エピローグ 美月編
腫れ物にさわるみたいに、みんなあたしに接してる。
いや、動物園の檻の中にいるライオンを見るみたいに。
それとも、花壇の手入れで無造作に抜かれた枯れかけの花を見るみたいに?
かわいそうなものを眺める目で、ちょっと高いところから、安全な場所から、どこか物珍しそうに。
あの日、体育館での黙とうを終えて教室に戻る廊下で、ドラマみたいだよな、とどこかから聞こえた言葉が脳の奥に突き刺さった。
ドラマだったらいかにもな悲劇のヒロインだろう。
それならばカット、オーケー、そんな声がかかって全部元に戻ればいい。
毎日、学校まで体を引きずるように歩く。けれどあの横断歩道がどうしても視界に入って、ぐるぐるとめまいがする。
だからその通りに差し掛かる前に曲がって、制服を着たまま学校とは反対方向の電車に乗る。
今日も学校に行けなかった。
いや、動物園の檻の中にいるライオンを見るみたいに。
それとも、花壇の手入れで無造作に抜かれた枯れかけの花を見るみたいに?
かわいそうなものを眺める目で、ちょっと高いところから、安全な場所から、どこか物珍しそうに。
あの日、体育館での黙とうを終えて教室に戻る廊下で、ドラマみたいだよな、とどこかから聞こえた言葉が脳の奥に突き刺さった。
ドラマだったらいかにもな悲劇のヒロインだろう。
それならばカット、オーケー、そんな声がかかって全部元に戻ればいい。
毎日、学校まで体を引きずるように歩く。けれどあの横断歩道がどうしても視界に入って、ぐるぐるとめまいがする。
だからその通りに差し掛かる前に曲がって、制服を着たまま学校とは反対方向の電車に乗る。
今日も学校に行けなかった。