でも、さわりたかったよ

受け取ったテストの右上の部分を見て、担任の顔を見て、またテストを見る。

担任が私の右肩にポンと手を置き、深く頷いた瞬間、教室がどっと沸き一番後ろの高橋くんが立ち上がって手を叩く。

ぽかんとしたまま右端一番前の席に目をやると、あっくんが呆れた表情で頭を抱えていた。




夏休みの週1回、つまりは計5回、夏期補習が学年ごとに行われる。

各クラスの期末テスト赤点者が1つの教室に集まるというみじめこの上ない状況を前に、私は憂鬱な気持ちで校門をくぐった。

校舎の周りをランニングする女子バレー部の、はつらつとした掛け声が眠った脳を揺さぶる。

< 7 / 78 >

この作品をシェア

pagetop