でも、さわりたかったよ

膝にじんじんとした痛みが走ってうずくまると、ひゃははは、と頭の上に下品な笑い声が撒かれた。

目だけでじろっと睨み付けると、あっちゃんは隣にしゃがみこんで、同じ目線の高さになった。


「あぶないことは、マジでやめて」



大きな両手であたしの頭をくしゃくしゃっと揉みこむ。




戻りたいよ。あの日に。
あたしはその時のあっちゃんを、空の青を、秋の澄んだ空気を、一生覚えている。


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