綾川くんが君臨する
概要1. 超〜気まぐれ表情筋しんでる
「あと3秒遅かったら校内放送で呼び出してた」
ぜーはーと肩で息をするわたしの向かい側で。
背もたれに体を預け、気だるげにこちらを見つめる男の子がひとり。
──気だるげ、に見えて、他人を寄せつけないどこか冷たい空気を放ってる。
立っているわたしのほうが目線は高いのに、見下ろされてるような感覚になるのは、いったいどうしてなのか。
「だっ…て綾川くん、っ、今日の授業1回も出てなかったじゃん、休み、だと思ったんだもん!」
「はあ? お前がいるのに休むわけないじゃん」
「っ、え」
──と、一瞬でもどきっとしちゃうわたしは、学習能力がすこぶる低いんだと思う。