綾川くんが君臨する

「え……───んぅ」



気づいたら、目の前が暗かった。

柔らかいものがぴたりと重なって、わたしの呼吸を止める。


かたちをじっくり確かめるように留まったあと。



「……っ、ぁ、」


ぐっ、と。


最後に一瞬だけ、わずかな隙間から、確かな甘さを伝えて、それは離れていった。


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