綾川くんが君臨する
𖤐ˊ˗



「あ、咲綾ちゃーん! 星くん見なかったっ?」


虚ろな気分でふらふらと教室に入ったら、クラスメイトの2人組に声をかけられて心臓が縮こまった。



「……ぅ、ごめん、見てない」

「そっかあ。ロッカーの荷物はないんだけど、くつ箱にスニーカーが入ったままだったから、校内にいるはずなんだよね〜」



胃のあたりがヒヤッとなる。

放送室のソファでくつろいでます、なんてとても言えたものじゃない。


ていうか、うちの学校のロッカーとくつ箱は扉付きなのに、わざわざ開いてチェックしたのかな。

こんなときばかりは綾川くんに同情する。

モテる人も大変なんだなあ……。




「星くん、思ったよりガード固すぎない?」

「んねー。ボディタッチしようとしても、絶対さりげなくかわされるし」

「それ。この前話しかけるとき、後ろから肩叩こうとした瞬間に振り向かれてさ! 後ろに目ついてるのかと思った」

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