綾川くんが君臨する
「呼び出し受けて全力疾走でやってくる黒鐘、何回見ても飽きない」
そう、綾川星くんは、こういうニンゲンなのである。
「きつかった? つかれた? 息切らしちゃって、可ー愛い」
性格が歪みに歪んだ、さいあくな男の子なのである!
「おれは、お前のその情けない姿を見たいがために学校に来てるのかも」
「あは、あはは、それはご苦労なことで……」
諦めの笑いがこぼれる落ちる。
毎回こうなるとわかっていながら、好きだから体が勝手に従っちゃうんだよね……。
「労ってあげるからおいで、イノシシちゃん」
「い、イノシシチャン……?」
「何かをめがけて懸命に走る姿はワンコみたいだな、と思ったんだけど」
「……だけど?」
「ワンコみたいにお利口じゃないし、溢れんばかりの愛嬌があるわけでもないし、脇目も振らずこちらに向かってくる様は、イノシシだなーと」
はあ、とがっくり肩を落とす。
いちいち怒ってたらきりがない。日が暮れちゃう。