綾川くんが君臨する
頭上で、くす、と笑う気配がした。
「想像して興奮したんだ」
「ち、違うよ、……、なんていうか、怒ってるの! 綾川くんてずいぶん軽い人だったんだなーって」
「黒鐘にはまだ早かったかー」
「〜〜っ、人の話ちゃんと聞いてよ」
この余裕、やっぱり百戦錬磨っぽい。
女の子を意のままに操ってそう。怖い。
「黒鐘こそ、人の話はちゃんと聞こーね」
「わたしは聞いてるよっ」
「さっき無理やり中断したの誰? おれが知らん女と寝るわけなくない?」
「、は……、え?」
やっとのことで顔をあげると、そこには、だるそーな綾川くんが。
「やっ、今さら名誉挽回しようたって、」
「どんなもんか興味はあったし、誘われたらラッキー、みたいに頑張って捉えてみたけど、なんか……知らん女の肌に触るとかフツーに無理だなって……」
「………」
「それに、おれ安売りしてないし。抱くならやっぱ好きな女だなー」