綾川くんが君臨する
な……なにそれ。
この数分間で、わたしがどれだけどん底に落とされたと思ってるの……っ。
してないならしてないって、最初からはっきり言えばいいじゃん。
わざと含みを持たせた言い方して、そういう行為を匂わせて〜〜っ。
「ばかぁ! わたしだって安売りしてないもん、なのに、唇……綾川くんがっ!」
「だからそれは、お前が泣くのが悪いんだって」
「意味わかんないそれ、理由になってない」
キッと睨む。
効果ないってわかってるけど。
「意味わかんないなら、わからせてあげよーか?」
直後。
ぐ、と顔が近づいた。
視界に囚われてがんじがらめ、体の自由が一瞬で効かなくなる。