綾川くんが君臨する
概要4. シャツのボタンは一番上まで留めるタイプ
𖤐ˊ˗
週明け。
クラスのわいわいメンバーの中心で
「ああアレ? 唇同士はぶつかってないよ〜、頬に触れただけ」
言ってなかったっけ?と、にこにこ首を傾げている男の子がひとり。
風間くんである。
土日の暇な時間を、事故チューの誤解を解く作戦を考えることに費やしていたわたしは、
易易とそれを解決した彼を前にして脱力した。
「じゃあお前が黒鐘サンを好きって言ってたのは?」
「? 黒鐘さんのことは好きだよ。面白い子だからもっと仲良くなりたいなあって思って」
「その好きって“ラブ”? “黒鐘さんとなら噂になって構わない”って言ってたっしょ?」
「ああ〜。黒鐘さんに限らず、オレ今恋人いないから誰と噂になっても困らないよーってこと」
な、なんだそりゃ!
と、一同顔を見合わせているけれど、爽やか炸裂の笑顔でそう言われると、誰も彼を責めることなどできやしない。