綾川くんが君臨する

4限目以降、なんだか眠くて眠くてたまらなかった。

午後は怒らせたら怖い先生の授業が立て続けに詰まってたから、シャープペンの先っぽを手の甲にぐりぐりしながら意識を保って。


ようやく、放課後。

終礼中、最後ののど飴をこっそり口に入れた。


頭がずっとぼうっとしてる。

このままだと帰りながら寝ちゃいそう。


部活動生がそそくさと教室を出ていく中、そこはかとなくだるい体を奮い立たせて帰りの準備をする。


今日課題が出た、数学と英語の教科書と……あとは、ロッカーから体育服取らなきゃ。


そう思って、腰を浮かせた矢先。



「ねえ、黒鐘」


わたしの前に黒い影が立ちはだかった。



「……綾川くん、ごめんだけど、今日は放送室入れないよ。わたし当番じゃないから」

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