綾川くんが君臨する
もう……本気でなんなの?
放送室使えないからって怒ってたんじゃないの?
今日の当番の子を引きずり出して来いって言ったくせに、そんなフラフラじゃ帰れないでしょとか。
命令しておいてなんで優しく抱きしめるの。いろいろ矛盾してるよ。
ちぐはぐな言動はいつもわたしの思考回路をぐちゃぐちゃにする。
そのせいでポンコツになったわたしの体を、綾川くんがひょいっと持ち上げて自分の膝に座らせた。
目線の高さがぐんと近づいたことで、またもや眩暈に似た感覚を覚える。
「ウイルスなんかに負けてんじゃねーよ雑魚」
片頬だけを釣り上げて笑う様はやっぱり悪魔。
口の悪さに磨きがかかって、素行の悪さにも磨きがかかって。
「哀れみと同時に欲情を誘うね、その顔」
なんの躊躇いもなく唇が落ちてきた。
わたしは……半ば無意識、そうされることが当たり前みたいに受け入れた。
「……、っ、ぅ」
「可哀想、男にこんなことされて、抵抗できなくて」