急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
(若様めー〜!)

昨日の恥ずかしさを思い出してしまい、亜里砂は残ったグラスの酒を一気にあおった。

「お前を荒れさせるなんて、よっぽど面倒な客なんだな…」

「うん、態度がデカくて…俺様でサイテーなの!マスター!同じのくださ〜い」

程なくして、亜里砂の目の前に新しいグラスが置かれる。

それを一気にまた半分ほど飲んでしまった亜里砂を見て、隣に座る男…柳谷慎一は苦笑した。

柳谷は、亜里砂の前職の大手商社に勤めていて、二年前まで亜里砂の同期だった男だ。

その商社の本社は、都内の別の場所にあるが、このベリータワー47階にも支社を持っている。

柳谷が一年前にこちらの支社に赴任してきて以来、亜里砂は何度かこのバーで待ち合わせて、この男と一緒に飲むことがあった。

昨夜、柳谷がトークアプリで「話したいことがある」と言ってきたため、亜里砂はお見合いを一つこなした後に、ここで待ち合わせて飲むことにしたのだ。

「ストレスが溜まってそうなとこ、追い討ちをかけるようで悪いんだが…話したい事があるって言ったろ?」

「うん…何だった?」

ストレスが増すと言っているのだから、良い話ではないのだろう。

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