急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
亜里砂が柳谷の顔を見た。
柳谷は、亜里砂のカテゴリ分けではSランク。
性格は良いし、仕事もできるし、亜里砂のところに入会すれば、それこそ速攻でご成婚なのだが、この男には結婚を約束した彼女がいる。

「もしかして、美智と別れたの⁉︎」

美智…柳谷の彼女の今井美智も前職の同期で、亜里砂とは退職して二年経った今でも、休日に一緒に出かけたりする仲の良い友人だ。

「いや、俺たちの付き合いは順調なんだが…。
加納…、落ち着いて聞けよ。
池澤公平が、先月日本に戻ってきた…」

「え…⁉︎」

亜里砂が持ち上げようとしていて、するりと落としたグラスを、柳谷が「おっと…」と言ってキャッチする。

「しかも…美智が言うには…アイツ、帰ってきてから、俺らの同期に何人も声をかけて、お前の行方を知らないかと訊いて回っていたらしい…」

「え?どうして⁉︎だってあの人は…」

「あの女とは離婚したんだってさ」

「なんで⁉︎」

「知るか!」

「でも…私はもう、あの人とは何も関係な…」

「訊いて回っていた、って言っただろう。もう訊く必要がなくなったんだ…」

嫌な予感がする…。

< 103 / 217 >

この作品をシェア

pagetop