急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「ヘリが…飛んでるな…。ああ…やっぱりベリーの…」

物思いに耽る亜里砂の隣で、何気なく窓から夜景を見ていた柳谷が言う。

(本当だ。泊まりになるって言ってたのに…戻ってきたのかしら…)

亜里砂は腕時計を見た。

(この時間からの呼び出しは、さすがに無いか…。今日は縁談を持ってこなくて良いって言ってたものね。ふん!何なのよ、優しさって偉そうに…。あ…あの人、偉いんだっけ)

亜里砂の脳裏に、昨日…自分に脛を蹴られて悶絶する若様の姿が浮かび、思わずクスッと笑ってしまう。

それを不思議そうに見ていた柳谷が、「大丈夫そうだな…」と呟いた。

そう…大丈夫。
自分はもうあの男とは、なんの関係もない。
もしどこかですれ違っても、挨拶すらする必要もないのだ。

「心配してくれてありがと。美智にもそう言っておいて。私は大丈夫よって」

「ああ」

亜里砂がニッコリ笑って柳谷を見た時…。


「きゃっ!」

背後から何者かが亜里砂の腕をグイッと引いた。
(まさか!池澤⁉︎)

あまりのタイミングの良さに、ギョッとして振り向いた亜里砂の瞳に映ったのは…。

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